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そんなことをぼんやりと考えていると、校歌斉唱の時間が来て、歌詞も分からぬままに歌って、その後、新入生はそれぞれのクラスに行くことになった。
「さ、ドベ子。行くわよ」
美佳がドベ子の頭を鷲掴みにして立ち上がらせた。
「うん。高校でも美佳ちゃんと同じクラスになれるなんて、私って超ラッキー!」
ドベ子がVサインをすると、美佳は顔を引きつらせた。
「私にとっては不幸な出来事でしかないわ……」
ウキウキして足取りも軽いドベ子に対して、美佳の足取りは重かった。
「一年五組って、どこだろ?」
ドベ子と美佳の向かった先は、階段を上って右奥の教室に入った。
「えっと、席は番号順ね。かきくけ、勾坂……」
勾坂のあとに、小坂井、小島、近藤ときて、列が変わって、一番前が真田になっている。
「私は、ずっと後ろね。山崎美佳だし。てかさ、いつも思うんだけど。あいうえお順って、不公平じゃない?」
美佳は、「や行」で始まる自分の名前が、いつも後ろにあることが気に入らないらしい。
ドベ子は、ちょこんと座り、幸太が入ってくるのをワクワクしながら待っていた。
ふと、人影が近づいてきた。
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