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「ああ? お前、誰か好きなヤツでもいるのかよ? さては、お前も真田に惚れたな?」
巧が半笑いで言うと、美佳は耳まで真っ赤になった。
「バ、バカっ。真田君が、私みたいなのを好きになるわけないじゃん!」
「そうか? マジメが服着てる同士、お似合いだぜ?」
巧みにそういわれると、美佳は小さくなった。
「そんなこと、ないわよ……」
美佳のトーンは尻すぼみだった。「私の好きな人は、あなたです」は、決して言えない相手だった。
ドベ子は、そんな二人の会話など、まるで眼中にないかのように、ぼんやりと車窓を眺めていて、ふと、葬儀屋の看板を見て口を開いた。
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