第七章 「御堂信孝」と「幸太のパパ」

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「ねえ先生。先生のパパの内臓が、幸太のパパのものだっていうことは、幸太のパパは死んじゃったってこと?」 「……そういうことに、なるわね」  亜里沙は、振り向きもせずに短く答えた。 「ヤダ! そんなのヤダ! 幸太が可哀そう!」  ドベ子の頬を涙が伝うと、巧は、呆れ顔をした。 「お前、今頃気付いたのかよ。相当ロックなヤツだな」 「三田村君こそ、今頃気付いたの? これが、ドベ子クオリティよ……」  赤信号で、ベンツが停まった。 「勾坂さんのことはさておき、このこと、真田君に知らせるべきなのか、どうなのか。迷うわ」  珍しく、亜里沙は教育者らしいことを言った。
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