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翌日。普段通りの朝がやってきて、亜里沙は当たり障りのないホームルームを終え、一時間目の授業に入った。
幸太は、亜里沙から何も知らされていないのか、普段と変わらぬ表情と姿勢で、ただ黙々と、教科書をめくって、板書を続けていた。
(幸太、何にも知らないのかな。パパが死んじゃったってこと。いや、でも生きてるのかな? 美佳ちゃんは死んじゃったって言ってたけど)
いつもの様に、ドベ子はぼんやりと幸太を見つめていて、その後姿をノートに描いていた。不意に、背後に人の気配がした。
「随分と絵がうまいじゃないか。これは、誰の後ろ姿だ?」
物理の教師だった。
「えっと、幸太です!」
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