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巧や百合菜の声も聞こえてきた。だが、幸太の背中はピクリとも動かなかった。
何かに追われて、ただひたすらにペンを走らせ、物理の問題を解いていた。
(あちゃー、また幸太に嫌われたかも)
教師にどれだけ怒られようが、嫌味を言われようが、ドベ子の価値観はたった一つだった。
「勾坂、お前が真田のことを好きなのはもう学校中の全員が知っている。若いお前らのことだ。人を好きになること、分からんでもない。うちの校風は、生徒の自主性を重んじることだ。ただし、赤点だけは取るなよ。中学と違って、卒業できなくなるからな」
「は、はい」
幸太に迷惑が掛かったと思ったドベ子は、珍しくうなだれていた。
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