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第二章 ニオイ対決!
「先生っ! 勾坂さんが、気を失いました!」
隣に座っていた女子が、亜里沙に向って手を挙げた。
「えぇっ? どうしたの? 男子が私の魅力に倒れるってことはよくあるけど」
と、ドベ子の席に歩み寄って、ドベ子の顔を覗き込んだ。よだれを垂らして、気を失っている。
「ちょ、ええと、勾坂さん、どうしたの? 大丈夫?」
後方で見ていた美佳、が驚いて駆け寄った。
「わわ、先生、ちょっと待ってください。この子は、眼鏡が緩むとダメなんですよ」
美佳はドベ子の眼鏡のパッドをきつく締めてやった。そして、耳元で、ささやいた。
「ほれ、手羽先の時間だよ」
「は!? 手羽先、どこ、どこ?」
よだれを垂らしたまま、ドベ子は目を覚ました。驚いたのは、亜里沙だった。
「な、なに? このコントみたいな展開は?」
「あの、先生。ドベ子……じゃなくて、勾坂さんは、嗅覚が良すぎて、時々、気絶してしまうんですよ。特異体質なんです」
亜里沙は眉を少しひそめて、「アハハ、面白い冗談を言うわね」と言った。
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