23人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
第六章 出る杭は打たれて、病院へ
週明けの月曜日。
「おっはよー! 幸太! 金曜はゴメンね。せっかく誘ってくれたのに、先に帰っちゃって!」
いつもの様に、黙々と教科書を読んで例題を解く幸太に向って、元気よく、デカい声でドベ子が言った。
女子生徒の鋭く厳しい視線が、ドベ子の厚い瓶底メガネを突き破るほどに突き刺さりまくった。
(何よ、あの子。ちょっとばかり目立ったからって、いい気になって)
(真田君に馴れ馴れしくコータ、コータって。いったい何なの?)
出る杭は打たれるものだが、ドベ子の一番の悲劇は、自分が出る杭であることが分かっていないことだ。
「おはようござい、ん?」
幸太に付きまとうドベ子に向けて、鬼の形相で凝視する女子たちの視線が無数に貫いているのを、美佳が見逃すはずはなかった。
「あは、あはは。みんな、ごめんねー。あんた、ちょっとこっちへおいでっ!」
ツカツカと歩み寄って、ツインテールをがっつりと両手で掴み、幸太から無理やり引き剥がして、強制的に着席させた。
最初のコメントを投稿しよう!