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『「宗教」という単語を耳にすると、すぐに「神」や「死生観」のような、いわゆる「スピリチュアル的な概念」と結びつける人間がいる。これは、「宗教」を狭義でしか捉えていない、あまりにも短絡的な考え方である。
一つの信仰対象と、それにより発信され、信者によって共有されうる「何らかの概念」。この二つが存在している時点で、それがどれ程現実的な物事であったとしても、それは広義では「宗教」である。
政治家。アイドル。ライター。ソーシャルネットワーク上で、「インフルエンサー」と言われている人間。さらにより身近な例を挙げるならば、「情報通」とされている、近所の噂好きのおばさん。
信じるに価する情報をもたらしてくれる「教祖」となりうる人間は、社会のありとあらゆる場所に存在している。
つまり、そこに情報を発信する「誰か」と、それを信じる「誰か」が存在した時点で、「宗教」は生まれるのだ。
--そしてそうやって発生した現代宗教は時に、下手な「カルト宗教」なぞよりも恐ろしい、「狂気」をも生み出す。』
【日吉昊斗著『見えざる現代宗教と、その狂気』より引用】
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