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今日初めての彼女の香りで、私は今日初めて心安らぐ。
「朝はかまってあげられなくてごめんねー。」
胸に顔をうずめる私の耳に、柔らかい色の波が伝わる。
「うむ……ならもっと、こうさせろぉー。」
ふざけて命令形にしたのだけれど、胸を満たしていく何かが喉まで迫り上げて、何とも気の抜けた強迫になってしまう。
「はいはい。今日もお仕事、ご苦労様。」
彼女はその綺麗な指で後頭部を撫で始める。これは一体、何回目の初めてだろうか。
あぁ、陽だまりのような安心感。
二人だけの空間。私だけの彼女。
どこか、温かいどこかへ溶け入ってしまいそう……な……
「あら、もう寝ちゃった。よっぽど疲れてたのね。こんなに早く寝付くのは初めてかも。」
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