毎日。初めて。重ねて。

1/1
前へ
/1ページ
次へ
今日初めての彼女の香りで、私は今日初めて心安らぐ。 「朝はかまってあげられなくてごめんねー。」 胸に顔をうずめる私の耳に、柔らかい色の波が伝わる。 「うむ……ならもっと、こうさせろぉー。」 ふざけて命令形にしたのだけれど、胸を満たしていく何かが喉まで迫り上げて、何とも気の抜けた強迫になってしまう。 「はいはい。今日もお仕事、ご苦労様。」 彼女はその綺麗な指で後頭部を撫で始める。これは一体、何回目の初めてだろうか。 あぁ、陽だまりのような安心感。 二人だけの空間。私だけの彼女。 どこか、温かいどこかへ溶け入ってしまいそう……な…… 「あら、もう寝ちゃった。よっぽど疲れてたのね。こんなに早く寝付くのは初めてかも。」
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加