企画書のようなもの 1

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企画書のようなもの 1

日本の森林は細い木にあふれている。 まっすぐな巨木にするために育てるよう植えられた木たちは間伐も枝打ちもされず、苗箱に育った稲の苗のように放置されている。 森は暗く、暗く、ただひたすらに、針葉樹の葉が光を遮っている。 彼らの運命を変えたのは何か。木造住宅から鉄筋コンクリートビルに移り変わったからか。都市部が栄え、地方が衰退したからか。薪燃料から化石燃料にエネルギーが切り替わったからか。森も山も暗くふさがれている。 森の中にはうずもれた祠があった。 祠には黒いものがうごめいていた。 黒いものは木に憑りつき、形を変えていく。 それは 魔木 と呼ばれる怪獣になる。
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