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1号
物語の始まりの一ページはあの夏の終わりだった。
今日の全授業が終了し、解放感に包まれる教室で私、浅野真希は下校の仕度をしていた。
窓枠から伸びる影は日に日に長くなっている。
そんな窓から頬を伝う風は、早めの秋のにおいを運んでいた。
匂いが漂う中、私は机の中の教科書類を椅子に掛けた鞄に入れていくと鞄は大量の教科書を食べるかのように、みるみるうちにパンパンになっていく。
鞄の肩紐はまだ1年も使ってないのにも関わらず、中身の重さに負けそうになっていた。
クリアファイルも…と思ったが前の方でプリントを配っていたのが見えたので、鞄に入れずに机の上に置いた。
すぐに、プリントが前から回ってきたので1枚取って後ろに回した。
するとまたすぐ回ってきたのでまた1枚取って回した。
プリントを前の人からもらうとき、手だけが後ろを向いて差し出されるのは少し嫌な感じがするのは私だけだろうか。
そんな事を感じながら、厚い束のファイルに入れようとしたとき、たまたま1枚の紙が私の目にとまった。
それは選挙広報、というものだった。
「第33期生徒会役員選挙」
大きく見出しがついていた。
中学1年生の私にとっては初めて見るもので、興味にそそられ、確認しようとしたのだが、「起立!」号令がかかったので慌ててプリントをしまって挨拶をした。
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