花言葉はお好きですか

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 ノブモトに視線を戻したら、彼が小さく笑った。 「まい子さん、受け取ってくれますか」 「……はい」  返事が震えた。手を伸ばし、バラを抱き寄せる。 「嬉しい……私、幸せです。大好きなノブモトさんに、こんな風にしてもらえるなんて」 「まい子さん、その……」  ノブモトの顔が赤くなる。えふんと咳ばらいをした。 「私のことが好きって……」 「いつからかはわかりません。でも、水曜日にあなたが帰った後、すごく苦しくなっていることに気がついて」 とまい子は言った。 「病気、じゃなさそう。じゃあ何だろうと思ったら、ノブモトさんと別れるのが寂しいんだって……」  照れながら、彼女がそっと花束を撫でた。 「私、夕暮れが嫌いになりかけてました。あなたとの別れを思い出すから。今日が終わらなければいいのに、そしたらノブモトさんはずっと私の側にいてくれるかしらって」 「……」 「でも、そんなこと言ったら迷惑だとわかっていましたから、言えなくて……。なのに、結局抑えられなくて先週はあんなことをしてしまったんです。本当に――ごめんなさい」 「謝ることではありませんよ」 とノブモトは言った。 「あなたのおかげで、私も自分の気持ちに気が付けたんです。謝罪なんてとんでもない、私があなたに礼を言うべきなんです」 「礼だなんて、」 「ありがとうございます、まい子さん」  まい子が何か言おうとして口を開いた。そして――言葉に表せなかったのか、何も言わずに首を振った。
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