Ⅴ アンドヴァラナウトの呪い

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 …………ところがだ。 「……いや、まだまだだ。こんな黄金じゃぜんぜん足りやしねえ……もっとだ。もっと財宝を集めねえと気が済まねえ……」  どうしてだかよくわからねえが、突然、そんな強い欲望が腹の奥底から沸々と湧き上がってきた。 「……そうだ。俺はトレジャーハンターだ。なのに宝探しをやめてどうする……世界中のお宝は俺のものだ……前言撤回。俺はやるぜ。世界中に眠ってる伝説のお宝を一つ残らず探し出してやる!」  そして、先程まで抱いていた弱気で後向きな考えを一蹴すると、俺は改めてトレジャーハンターとしての自覚と決意を硬く胸に刻む。  そんな俺の傍らで、よくは聞いてはいなかったが、ヴォラクが何かこんな独り言を呟いていたような気がする……。 「あ~あ。だから言わんこっちゃない……伝説に云われている通り、確かにその指輪には〝財産を増やしてくれる〟力が秘められている……そいつの持ち主に強い欲望を抱かせ、強引に金儲けへ邁進させるっていう魔法…いや、呪いの力がな――」                   (Das Fluch Gold~呪いの黄金~ 了)
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