Ⅰ ニーベリンゲンの唄

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 未亡人となったシーグルーズの妻・クレムヒルトはフォン族の王アッツェルと再婚するが、それはフォン族の武力を利用して夫の復讐を果たすためだった。  彼女の策略によって招待されたブルドッグント王国の使節団はフォン族に惨殺され、兄のグンテハール王とハゲーネは生け捕りにされちまう。  そして、捕囚の身となったハゲーネに黄金の在処を明かすよう詰め寄るクレムヒルトだが、この策士は「主君が死ぬまで黄金の在処は話さない」と頑として口を割ろうとはしねえ。  その言葉に乗せられたクレムヒルトはシーグルーズの形見である聖剣グラムでほんとに兄グンテルハール王の首を刎ねちまうんだが、それでもハゲーネは隠し場所を吐こうとはせず、業を煮やしたクレムヒルトはハゲーネもけっきょく斬首に処してついに復讐を遂げる……。  けど、それが彼女の運の尽きとなった。  アッツェル王の客分であった英雄のヒルドブロンが、敵とはいえ縛られて無抵抗な相手に対するその無慈悲な行いに激怒し、クレムヒルト自身も英雄の手で誅殺されるという、なんとも救えねえ結末だ……。  アンドウアリィのかけた呪いか、あるいはシーグルーズに殺されたファフニルの怨念なのか? こうして関わる者達を次々と死に追いやっていったこの〝レヌーズの黄金〟は、いつしか本当に呪われていると信じられるようになった。  持ち主に滅びをもたらす〝Das Fluch Gold(ダス・フルーフ・ゴルド)(呪われた黄金)〟なのだと。
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