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家業の鉱山採掘で魔導書の有効性をよく知っていたこともあり、だから俺はトレジャーハンター稼業を始めるにあたってまずは修道院に潜り込み、魔法修士として魔導書の使い方を大真面目に勉強した。
まるで囚人にでもなったかのような地獄の日々だったが、一年後、おかげさまで基本的なところをマスターした俺は、密かに書き写していた幾つかの魔導書を手土産に修道院を逃げ出し、晴れてこの商売を開業したっていうわけだ。
手土産の中でも一番重要なのが『キプリアヌスの書』――これはアンティオキアの聖キプリアヌスっつう、もと魔術師の偉い坊さんが書いたとされるもので、通称〝黒い本〟。宝探しに役立つとここらじゃよく知られているものだ。
ま、これだけでもトレジャーハンターをやるには充分なんだが、俺は魔法修士として学んだことで、魔導書をもっと有効に使えることに気づいた……。
悪魔の中には「隠された財宝の在処を教えてくれる」という奇特なやつもいるってことだ。
そこで、能力別に悪魔を呼び出すのに便利な『ゲーティア』っつう魔導書も書き写して持ってきた俺は、今回、〝レヌーズの黄金〟を探すにあたり、そんな悪魔の力を借りることにした。
そこがまあ、見つけられずに身を滅ぼした三流のトレジャーハンター達と一流の俺との大きな差だ。
それでも、ファフニルの魔力が邪魔をして、悪魔をもってしても隠し場所は探れないかもしれない。
そこで、お宝の隠し場所を教えてくれる悪魔は数あれど、俺が選んだのは古の時代、かのソロモン王が使役していたという72柱の悪魔の内、序列62番・龍総統ヴォラクだった。
なぜヴォラクなのかといえば、こいつは財宝の在処だけでなく、あらゆる爬虫類を支配し、蛇の棲み処を探し当てることもできるからだ。
そう……黄金を守っているとされるファフニルの霊はワームだ。
ワームもドラッヘ(※ドラゴン)も蛇も似たようなもの……黄金の在処にはワームのファフニルも必然的にいることになるんで、魔力で黄金を隠そうともファフニルの方から探し出せるって寸法だ。
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