金メダルあげます!

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金メダルあげます!

 私は、どきどきしながら、学校の片隅にある教室のドアをノックした。 「はいはい! いらっしゃいませ!」  元気そうなポニーテールの女の子が飛び出して来た。 「あの、『金メダル授与同好会』ってここでいいですよね?」  私はポニーテールの女の子に尋ねた。 「はい! ここが『金メダル授与同好会』の部室です! 私は副会長のほめ子です! 銀さん! 依頼者ですよ!」  ほめ子さんは教室の端の机に座っていた男子生徒を呼んだ。男子生徒は私に近づいていて挨拶した。 「こんにちは。『金メダル授与同好会』の会長の遠山銀です」 「『金メダル授与同好会』の会長なのに『銀』さんなの。面白いでしょ」  ほめ子さんが付け加えた。 「お名前と依頼をうかがっていいですか?」  銀さんが尋ねて来た。 「は、はい、私一年二組の坂城華です。この間の中間テストでクラス一位だったんですけど、うちの兄が学年一位とか取る人なんで、家族はそのぐらいじゃあまりほめてくれなくて。学校内でもテスト順位伏せられてるし……せっかく頑張ったからなにか証が欲しいなって」 「なるほど! ではこちらへ!」  ほめ子さんが示した先には、表彰台があった。表彰台の後ろに日本国旗が飾ってある。 「あれの一番上に乗ってください」   「は、はい」  私は緊張しながら表彰台に登った。いつの間にか君が代が流れている。  会長の銀さんが、オリーブの冠を私にのせたあと、金色の折り紙でできた金メダルを首にかけてくれた。 「中間テストクラス一位、おめでとうございます。そんな坂城華さんには、金メダル差し上げます!」  銀さんとほめ子さんは盛大に拍手して讃えてくれた。 「……なんだか、想像してたより嬉しい! ありがとう!」 「ありがとう。また希望があったらいつでも来てね! どんな内容でもいいよ! 別になにかで一位になっていなくても、理由は見つけて金メダルあげるから!」  ほめ子さんは元気よく言った。  私は二人に送り出されて教室を出た。  この「金メダル授与同好会」、2020年に部活昇格を目標に、細々と活動しているらしい。なにか褒められたくなったら、みんなも是非行ってみてほしい。  
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