第7話 亜人連合国との同盟を結ぼう!

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第7話 亜人連合国との同盟を結ぼう!

「亜人連合国との同盟を進言します」 会議中、アイリーンがそう発言する。 「亜人連合国ってどんな国なの?」 静子はアイリーンに尋ねた。 「狂戦士が納める国で人種以外の種族が暮らす国です。この国もセイ王国の脅威に曝されています。もし、我が国と組めばセイ王国軍を挟み撃ちに出来るでしょう」 「それで同盟は組めそうか?」 誠が質問を投げかける。かつてこの国は亜人種を差別し隷属していた。亜人連合国からも亜人を誘拐してきた過去まである。 「今の状況を実際に見て貰えば可能性はあるかと」 「じゃあ、それで決まり。アイリーンと剣聖、それから各種族の兵士を5名ずつ連れて行ってくれ。それで彼らの口からこの国の現状を知らせればより確率は上がると思う。出来れば視察団に来て欲しい事も伝えて欲しい」 武司はそう言うと軍師たちを海路で亜人連合国まで連れて行くよう手配する。 それから数日後、アイリーン一行は亜人種連合国に到着する。そして一行は王宮へ連れて行かれた。 「お初にお目に掛かります。我らはウッホ王国より参りました使節団です。どうか我が国との同盟をご検討頂けないでしょうか?」 「ふむ、王が変わって今では異世界人が納める国となったと聞いた。その者達を信用しろという根拠はなんだ?」 狂戦士の王は使節団に問いかける。 「それは我らからお話ししましょう」 そう言って同行していた各亜人種がウッホ王国の現状を事細かく説明する。 「今では識字率も計算能力も上がっています。現三王の善政により食糧事情も変わりました。今回、武司王より最新農業技法と農作業道具の新しい設計図も預かってきております。更に敵を混乱させる兵器の設計図です」 亜人種はそれらを狂戦士王に献上する。王は重鎮のエルフたちにそれを見せる。 「…武司王はゲイ術愛好家というのだけは解りました」 エルフの重鎮が顔を青くして言い放つ。 「何故だ?」 「この兵器は…敵の兵士の性欲を極限まで上げて男同士だろうが乱交するような薬を使われています。こんな恐ろしい兵器を作る時点で男色の気があるかと…」 「しかし農業技法は素晴らしいものがあります。それに農作業道具も画期的です。これがあれば国力は上がるでしょう」 豚の耳と尻尾を生やした猪人族の重鎮が言い放った。 「それより亜人が持っている武器が気になりますな」 額に2本の角がある鬼人族の重鎮は彼らが装備している銃に興味を持っている。 「それでは威力をお見せしましょう」 そして全員で大きな野原へやってくる。 「これが我が国の軍事技術です」 そう言って亜人種は順番に銃を発砲する。その威力に狂戦士王は驚愕の表情を浮かべた。 「フム…敵に回すと厄介な国だな」 「武司王は皆さまをウッホ王国へ招待したいと申しておりました。一度、使節団の派遣を検討頂けないでしょうか?」 アイリーンがそう言うと狂戦士王はしばし黙る。 「ウッホ王国最強と言われた剣聖と天才軍師を遣わしてきたのは我らがそなた等に害を成さないと信じているのであろうな。バカな国王なのか賢王なのか判断に迷うところだ」 「正解は両方です」 不意に上空から武司の声が響く。上空からムササビスーツにロケットエンジンを付けた武司が性奴隷の元国王を抱えて飛んできたのだ。 「えへへ、来ちゃった」 「来ちゃったじゃありません!何故、武司王が来たのですか?国防はどうするつもりですか?」 「誠君と静子ちゃんが居れば安心だよ。それより王が突然、空から飛んでくる方がインパクトあるじゃん」 それにはアイリーンも呆れていた。 「お初にお目に掛かります。ウッホ王国新国家元首が一人、武司です。以後、お見知りおきを」 「お主…アホか?国王が来たら拉致される可能性もあるだろうに」 「我が国の亜人種は誠実です。それは他国でも同じだと僕は考えます。それにこの国を上空から拝見しましたが国境付近以外は平和そのものですよね?だから狂戦士王は善政を行う王であり、卑劣な真似はしないと考えた次第であります」 その言葉を聞いて狂戦士王は大笑いする。 「これは参ったな。物凄い観察眼だ。武司王、客人として宮廷にお招きしましょう」 「それではご厚意に甘えさせていただきます」 そして一行は再び王宮に戻るのであった。
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