エアの技術

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エアの技術

 その昔、帝都のうんとはずれに、エアという技術があった。  いや、昔といっても五年ほど前までは確かにあったのだ。帝都のはずれにある集落に、その技術はひっそりと伝わっていた。その技術を狙い、とある山奥にある会社が集落にやってきた。技術の強奪をしようとする会社と、技術を守ろうとする血族の戦いの末、エアを伝える一族から、一人の男だけが逃げ延びた。会社はエアの技術を使用することを諦めた。彼らの仕事に使えるものではなかったからで、また応用を効かせられるほどの技術が会社に無かったからだった。集落のあった場所に残ったものは、焼け跡だけだった。暮らしは隠され、痕跡はなくなった。  現在エアは、その一人だけが持っている技術だ。血族のみに伝えられた、空を飛ぶ技術。それがエアだ。
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