命の色

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 足の悪い母が電車を乗り継ぐのは無理なので、妹の真衣の旦那の泰樹が有給を取り、両親を車に乗せて4人でここに来る予定だったと聞いていた。  だから、余計に断りづらかったが、美咲のあの辛そうな様子では、来てもらっても医者からストップが出るかもしれないと説明をした。 「そう。美咲さん、苦しんでるのね。かわいそうに。こちらのことは気にしないで、傍についていてあげなさい。元気になったら顔を見に行くからって伝えてね」 「分かった。真衣と泰樹さんによろしく伝えといて」  電話を切って病室に戻ると、斎賀医師が美咲に問診を行なっていた。  ドアの開閉に振り向いた斎賀医師が大悟に来るように促し、ICUを出て待合室を通った先にある相談室へと入って行った。  斎賀医師がパソコンの画面を操作して、今朝美咲が受けたCT検査の写真を映し出す。 「こちらが、手術前に撮った写真で、そしてこちらが今朝撮った写真です」  医師は一方的に話さず、大悟が写真を見比べて違いを確認できる時間を与えた。
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