命の色

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「頭が痛い‥‥‥痛い。お見舞いは断って。気を使う余裕なんてない」  青い顔で妻の美咲がうわごとのように痛いと繰り返す。 「分かった。母に連絡してくる」  美咲のいる部屋は、集中治療室の中でも、一番危険な状態の患者が入れられる一人部屋だ。幅が狭いため細長く見える部屋の中は、枠付きのベッドが殆どの空間を占め、その上に点滴や計器に繋がれた美咲が寝かされている。  部屋を離れている間にも急変しないだろうかと何度も振り返りながら、大悟は大きなスライドドアを開けた。  ドアの間口が大きいのは、キャリーがついたベッドごと、手術室に移動することができるように、ベッドの幅が確保してあるからだということを、美咲の緊急手術と入院で、大悟は初めて知った。  ドアの横には看護師が待機していて、患者たちのデーターを打ち込んでいる。 「すみません。電話をかけてくるので、少し離れます」 「はい。その間見ていますので、大丈夫ですよ」  にっこりと笑う若い看護師の血色の良い肌を見て、大悟は思わず目を逸らしてしまう。美咲の苦し気な青い顔と比べてしまって、辛いから‥‥‥。
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