命の色

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「大悟さん。ごめんね。汚い思いさせちゃって・・・・・」  美咲が俺の手を撫でる。 「生きているから出る物の何が汚いんだ!?」  お前が明日も、そうやって話してくれたらそれでいい。  そう思ったらまた泣けてきた。  美咲が泣かないのに、俺が泣くわけにもいかず、自然と視線が下がる。  足元には尿だけになった廃液袋が吊るしてあった。  カテーテルを通って、つ~っと流れていくものがある。  電灯に照らされて、それは透明な金色に輝いていた。  血の色はどこにもない。あくまでも澄んだ金色の水。  脳が正常に働いて、内臓も正常に機能しているからこその濁りの無い色。  お前の命の色だと思った。  それから2週間の間。美咲は血管攣縮(れんしゅく)のための頭痛を乗り切った。ほんの少し脳梗塞を起こした場所はあったが、日常生活に支障をきたす場所ではなく、目に見える障害は出なかった。 「図形は元々苦手だったから、それが不得意になると言われても、不自由は感じないもん」  美咲が笑う。どこにも歪みのない眩しいくらいの笑顔で笑う。  言語の方も障害が出なかったので、ほっと一安心だ。  きっと退院したら、楽しいおしゃべりを聞かせてくれることだろう。    俺は二度と、静かにしろなんて、美咲に言わない。
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