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21 覚醒する風
ゼロ距離で蹴り込まれ、気を失った蓮。新太はこの時、抑えきれない怒りが込み上げてきていた。
『クカカカ…このオレこそが、最強なのだぁ!この中身のガキもじきにいらなくなる…そうなればオレは完全体として大暴れできるんだからなぁ!』
「ふっざ…けんなぁぁぁ!うらぁぁぁ!」
新太は走りながらコスチューム姿になった。そして、スカルクに対してこれでもかというほどの連続攻撃をしかけた。
『クカカカ…もっと見せろ、人間の怒りを!』
「叛斗のことも…蓮のことも…そうやって手にかけてもまだお前は悪いことしてることに気がつかねぇのかよ!」
『叛斗はお前たちを倒したいと言っていたぞぉ…オレはそこで提案したのだ。オレがお前の力となる。その代わり、ヤツの命を取ってもオレを恨むなとなぁ!』
スカルクは新太の攻撃を剣と銃で挟み込むように受け止め、そのまま蹴り飛ばした。
「お前だけは絶対に許さねぇ!叛斗も蓮もオレの大事な仲間なんだ!手にかけたお前はこのオレが命を糧にする勢いで倒してやる!」
少しずつ新太の体から緑色のオーラが出始めた。これは前の戦いで彼自身が馬の姿になりかけたときにも起きた現象だった。
『04から聞いたが、お前はそうやって一回プレイヤーはずれなことをしたそうじゃないか。いいのか、ここは海水浴場、人が多い。お前の姿が変われば傷つき悲しむヤツがいるだろ?』
スカルクの言葉に新太は思わず手を止めた。そして、自分の手を見て、この前の戦いを思い出してしまった。
『なぁにボサっとしてんだよぉ…オラァ!』
〈ダイダルストライク〉
「ぐぁぁぁっ!」
新太は思いっきりがら空きになったところをスカルクの攻撃を受け、蓮と同じように激しい痛みに襲われてその場にうずくまった。
『ハッハ!こいつぁいい画じゃねぇかよ…お前ら揃いに揃ってバカばっか!ウイルス上がりのオレでもこれなのに…よくここまで戦ってこれたもんだよなぁ!』
…あぁ、超ムカつく。超うぜぇ…黙れよ。お前みたいなヤツが嘲笑してんじゃねぇよ。
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