19 5年越しの告白・後編

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「ありがとう。…俺が女を嫌うようになったのは、今から数えてちょうど5年前のある日からなんだ。」 「えっ…あっ、ごめん、続けて。」 「…5年前、俺はいつもみたいに新太と俺の分の晩飯を作ってた。新太は珍しく友達を誘って近くの公園で遊んでたんだ。」 話ながらも蓮は拳を強く握って、目が潤いだした。 「…しばらくして、新太が帰ってきた。だけどその時のただいまの声は…涙混じりだった。理由を聞いたら…悔しくなったんだ。」 「悔しくなった…って?」 「砂場で遊んでた新太は後から来た集団に遊び場を取られたらしいんだ。それくらいでは俺は『あぁそっか、今度は兄ちゃんも付いてってやる』で済んだ。けど…俺が悔しくなったのはそこからだ。」 蓮の拳を握る強さが先程よりも強くなった。 「…『レディーファーストだから譲れ』って言われたらしい。それを聞いて俺は心底悔しくなったよ。今まで助けてやった女子が自分達の立場を武器にやりたい放題やってた事実を知ったからな…」 「それで蓮はこんな風に女子を嫌うようになったんだね…」 「…今なら言える。今まで悪かった!いつまでも過去のことを引きずって関係ないお前ら二人まで冷たくあしらっちまった…」 蓮はボロボロと大粒の涙を流して大声で泣いて謝った。何を思ったのか、三樹はそんな蓮をそっと抱きしめてあげた。 「単に女が嫌いってわけじゃなかったのね…そういう過去があるなら、先に言いなさいよ。アタシたちは仲間、そうでしょ?」 「…そうだな。」 しばらくして蓮の方から離れ、蓮は涙を強くぬぐった。 「決めた…俺はもう一度やり直す!5年前から腐って止まった、俺自身を!」 蓮は完全に過去の苦難を振り切り、満面の笑みを浮かべて強く叫んだ。 「そうだ四野くん…一つだけ、聞いてほしいことがあるけど、いいかしら?四野くんだけ過去の悩みを打ち明けるなんてズルすぎるわよ。」 「…今回だけだからな。次からはお互いこういうのはなしだからな!」
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