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24(終) ひとつの答え、もうひとつの始まり
―後日、2-E教室―
オレ、一ノ瀬新太は参っていた。林間学校以降、みんなからの目線が何かやらしく感じるようになった。というのも、林間学校の一件が原因だ。
オレは………人生で最も縁がないであろう〈告白〉をされてしまったのだから。
「浮かない顔ばっかでつまらんぞ、新太。林間学校の一件なんて忘れて、遊び呆けようぜ?」
このクソのんき野郎…今すぐ釜茹でにしてやりてぇ…こっちは真剣に悩んでますが(怒)
「おはよう、蓮くん、一ノ…わぁぁ、どうしちゃったの、なんでそんな難しい顔してるの!」
原因作っといてその一言かよ!告白してきたのは女の子なんだし、女の子に相談、ましてやチームメイトにするようなもんじゃないよな、これ。
「新太…そろそろ、答え聞きたいんだけど、まだ考えてる?」
ご覧の通り二菜は完全にラブコメヒロイン化したことにより、すっかり乙女に変わった。少し前までのクールな頃に戻ってほしい。
…っとまぁこんな感じで、林間学校以降オレは学年一の苦労人というわけだ。今更ながら休めば良かったな…こんなことになるくらいなら。
「じゃあ私、図書館で勉強してくるね。二学期からはできるだけ新太に頼らなくてもいいくらいになるから!」
「お………おう。がんばれー」
…一ノ瀬くん、やっぱり鈍すぎるよ!いい加減自分に素直になってあげて!心が泣いてるのが丸わかりだから!
「夏の試合、見に行ってやるし、テニスの感覚戻ってきたから…練習相手になるぜ、三樹。」
「ホント!うれしいなぁ…じゃ、負けたら帰りの荷物持ちよろしく!」
「言ったな、三樹さん。言質は取らせてもらうぞコラァ!」
…争いなら外でご自由に。
―その後、テニスコート―
三樹との試合の結果は、デュースありのルールでやったことが幸いしたのか、はたまた運が良かっただけなのか、蓮の方に軍配があがった。
三樹は悔しそうに教室へと帰っていったが、蓮は外の空気を吸ってリフレッシュしたいと残っていた。
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