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20 逆襲と共闘
―林間学校三日目の朝・山奥―
蓮は未明に10からの連絡を受け、昨日オリエンテーリングが行われていた場所に来ていた。
「こんな朝早くに名指しで呼び出しとはいい度胸だな、10!」
「急に呼び出したのは謝ろう。実はお前に頼みがあるのだ。」
「言ってみろよ。もちろん、誰にも口外はしないぜ?」
「感謝する…実は、お前たちに討たれたはずの氷上神矢が生きているのだ。それも、このギアの力を使ってな。」
「なっ、それホントかよ?詳しく聞かせてくれ!」
「ヤツは最初からレイドプレイヤー10人全員を同時に目覚めさせ、何かをしようとしていたんだ。だが、冬眠から数年たったこともあり、目覚めて安全に稼働できるものはFIRST‐LOT…二菜や04だけだったんだ。」
「なるほどな…つまり、あの男はお前らをはじめから駒にしか見てなかったってことか?」
「そうだ…これを知った私はここにはいられないと、単独行動権を得た。そして今に至るというわけだ。」
「そろそろ本題に入ってくれよ、大体は理解できたからさ。」
「うむ…どんなヤツであれ、レイドプレイヤーは私の家族だ。守れる者は守りたい…だが、04のように非道な手を使う者は容赦なく斬り捨てて構わん!だから、彼らと戦う前にできたらでいい…行動を起こした真意を聞いてから戦闘を行ってくれ。」
「要するにできるだけ相手の出方をうかがってからやれってことか…分かった、守れるだけ守ってやるよ、その約束。」
「恩に着るぞ…蓮!」
「じゃ、俺は戻るわ。いつまでもここにいたら反省文書かされて楽しめるものが楽しめなくなるからな。」
「ああ…了解した。」
…なんだかんだいって、10はいいヤツだ。あんな風に仲間のことを思いやれるほど心に余裕を持ってる。俺もFour Animalsの一員として、アイツくらいに心に余裕が持てるようになれるといいな…
蓮は10との約束や自分の心にしまった誓いを胸にコテージへと戻っていった。
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