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実家の母に本を渡し、キャリーバッグを持って一人暮らししているアパートに帰って来たのが、夜の七時過ぎ。
キャリーバッグを適当に床に転がしてベッドに寝そべる。さて、これはどこにしまったらいいものか。ワンルームの部屋は収納が少ない。駅近で都心へのアクセスが良く、家賃もそこそこなので文句は言えないが。
天井を見つめて数時間前の母との会話を思い起こしてみる。
「真司、小学生の頃仲が良かった及川くん覚えてる?」
「ああ、覚えてるよ。」
「この間、近所で及川くんのお母さんに会ってね。及川くん、去年結婚してもうすぐ子供が生まれるんだって。」
「ふーん、そりゃめでたいね。」
そろそろ結婚しろとかそういう類の小言でも言われるかな。昨日電話でもそんな話をしていたし。
「それでね……私も再婚することにしたから。」
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