1.事の始まり

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「君に危害を加えるつもりはない。だから、ひとまず話を聞いてほしい。」 相手がどこにいるか確認したいのに、視線すら動かせない。 「さっきから私の姿を探しているようだが、どう頑張っても見えないと思うよ。だって、君の体の中にいるんだから。」 どういうことだ。 「簡潔に言うと、私は幽霊で、君は私に取り憑かれている。」 幽霊?取り憑く?日常あまり聞くことのない単語を、頭がうまく処理できずにいる。 「おっ、固まってるな。」 ……何で俺?と言うか、さっきから俺の考えていることが分かるのか? 「どうしてこんなことになったのかは、残念ながら私にも分からない。本屋を散歩していたら、突然君の体に吸い込まれたんだ。出ようとしても出られなくて参ったね。それと、君の考えていることが分かるのかという問いについては、イェスだ。」
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