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***  大学三回生になると授業はほとんど入らないので、期末試験は楽に済んだ。  地元を出て県外の同じ大学に通っている司と美央は、いつも長期休みに入ると一緒に帰省することになっている。ただ、司は経済学部に所属しているが、美央は教育学部に所属していて試験科目も試験日もバラバラだ。ラクロス部に入っている美央は、今回、試験が終わったらそのまま合宿に参加する予定になっている。司は地元で友人と会う約束もあったので、一足先に帰省することになった。  地元までは高速バスで三時間もあれば着く。午前中にバスに乗り、昼過ぎに地元のバス停に着いた。バスを降りると友人の祐太が迎えに来ていた。 「久しぶりだな」 「悪いな、祐太。待っただろ」 「全然。さっき着いたとこなんだ。それに車で来てるから」 祐太はそう言って、自慢げに車のキーをチャラチャラと指先で回してみせた。 「車買ったの?」 「いや、親父の」    祐太は司の中学時代からの親友だ。高校も同じだったが、大学は別に行った。普段は連絡も滅多に取らないが、互いが地元に帰ってくる時は必ず会っている。  助手席に乗り、ハンドルを握る祐太の横顔を見て、また雰囲気が変わったなと司は考えた。中学、高校と丸刈りだった祐太は、その反動か大学に入ると髪を伸ばし始めた。祐太は三年のあいだでパーマを当てたり、髪を結ったり、ヘアスタイルを自由に楽しんでいる。今回はずっと黒かった髪を金色に染めており、長さも丁度いいくらいに落ち着いた。グリーンの一本線が入った白いポロシャツという爽やかな服装のせいでもあるのか、ここにきて急に垢抜けた気がした。  一方、司は自分も一度くらいは髪を染めてみたいと思っているが、黒髪がいいと美央に念を押されてイメージチェンジの機会を逃している。
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