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***  就職先が決まったという報告をするため、大学のキャリアサポートセンターに行った。簡単なアンケートを書かされただけで数分で終わったが、出たところで丁度、美央と出くわした。あからさまにうろたえる司に、美央は明るく声を掛けた。 「CSに何か用があったの?」 「え……、就職決まったっていう報告に」 「あ、そっか。わたしも報告しなきゃ。わたしもね、受かったんだよ。地元の小さな会社だけどね。司は前に内定もらってたとこにしたの?」 「いや……受けたいと思ってたとこに、決まったんだ。だから前回受かった会社は断わって……」  美央からゆっくり笑顔が消えた。なぜ早く言わなかったのかと責められるかと思ったが、意外な反応があった。 「なーんだ! じゃあ、もう心配はいらないってわけね。よかったね」 「あ、ああ……ありがとう」 「あとで家に行ってもいい?」  さすがにそれには頷けなかった。 「美央、悪いんだけど……あの……こないだの……」 「わたしはまだ認めてないわよ」 「だけど、どうしようもないんだ。美央のことは好きだよ。でも」 「好きなのに、どうして距離を置くの? 大丈夫、司がその人の傍にいなくてもいいって思うまで待ってるから。だから、今まで通りにしようよ」 「……辛いよ」 「わたしがいると、その人と堂々と付き合えないから? わたしが邪魔だから?」 「俺のことはどうでもいいんだ。これ以上美央を傷付けるのが辛いんだよ」 「わたしがいいって言ってるんだから、いいのよ。あとで行くからね」  司の返事を待たずに美央は去った。今まで美央は司の意志を無視した行動はしなかった。 やはりはっきり言うべきだった。
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