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秘密の理科準備室
頼られるのも、頑張るのも、嫌いじゃない。
でも、ときどき、全部放り出して逃げたくなる。
そんなとき、いつも逃げ込むのが、ここ、理科準備室。
滅多に誰も来ない、私だけの秘密の場所。
生徒会の今年度決算と、次年度予算の作りの下準備、おまけにもう少しで私たち現生徒会の役員は引退だから、引き継ぎ書も作らないといけない。
受験の夏が目前なのに、志望校はC判定。
私立の指定校なら、きっも余裕で推薦をもらえるはずだけど、いかんせん学費が高過ぎる。
私なんて、大学に行かせてもらえるだけでも有難いんだ。
自力で成績を上げるしかない。
それら全てのプレッシャーを、家から持って来たクッションに、顔を押し付けて、
「あーーーーーーーっ!!」
と、一吠えして発散させ、昼休みの校庭に目を凝らした。
おー、やってるやってる。
私が理解準備室に来るのには、もう一つ理由がある。
クラスメイトの矢吹海斗が、汗だくで他の男子と一緒にサッカーをしているのを、ここからこっそり眺めるためだ。
「あ、こけた。バカ…」
とか言いつつ、口元が緩んでしまっているのは、自分でも分かっている。
矢吹と私の関係は、ただのクラスメイトで、それ以上でもそれ以下でもない。
私の一方的な片想い。
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