「必要とされていない16歳の少女」

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「必要とされていない16歳の少女」

 穂乃花は学校に行きたくないと言って、母を激怒させた。兎に角、学校に行きたくない。穂乃花は譲らなかった。怒鳴られた。穂乃花は自分の部屋のドアを両手と背中で抑え付けてバリケードを作り、登校拒否を貫いた。  やがて、出勤するために父も母も出て行き、兄も弟も学校に行くため家から居なくなった。  最初は気持ち良かったが、家族は自分達の都合を優先しただけで、穂乃花を見限ったに過ぎない。母が学校に連絡したので学校からも穂乃花を呼び出す電話は掛かって来なかった。  学校でも家でも一人ぼっち。  穂乃花は悟った。  自分が誰からも必要とされていない現実を。  穂乃花の不登校は定期的なモノになった。  最初は学校も心配していたが、2回3回と学校に行かないことが続くと、親も学校も穂乃花を放っておくようになった。学校に行っても、クラスは勿論、部活の仲間達まで誰も穂乃花を心配しなかった。彼らからすればサボっているだけの無能でしかない。周りが明らかに自分のことを見下しているのを察すると、穂乃花は生きている意味を失った。 (私なんて、もう居なくて良いんだ)  穂乃花は自殺を本気で考え始めた。  5月に入ったある平日、穂乃花は学校に行くフリをして、そのまま近所のホームセンターに出掛けた。ホームセンターの店員は、女子高生が学校に居るはずの平日に出歩いていても気にしない。袋詰めされた10個入り2500円の練炭を見せても、レジ担当の店員は何も気にすることなく淡々と商品を購入させて客を流した。  穂乃花は自殺するためネット検索をするようになって、自殺するなら練炭自殺が一番良いと考えるようになっていた。首つりやリストカットなどのように物理的に自殺しても霊魂は死なない気がしたが、全身を毒で犯せば霊魂まで死にそうに思ったからだった。
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