勝つのはオレだ

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勝つのはオレだ

 金城はタワーマンションの最上階の部屋でシャンパン片手に大きく開かれた窓から下界の光景を見下ろしていた。 「宝クジが当たる前は、オレも下界の人間だったな」    金城はニヤリとほくそ笑んだ。    下界の人間を見下ろすのではなく見下すように。  金城は宝クジで10億円を当てた。でも、使わなかった。いや、正確には使えなかった、自分では。  そこで、金城は考えた。宝クジの賞金を埋蔵金として各地に埋めて、その場所をオブラートで包んだ情報で自身のブログで流す。そうすれば、楽に金を手に入れたい連中がブログに集まる。ブログに人が集まれば、ブログに掲載する広告、アフリエイトで収入が増える。でも、これでの儲けは微々たるもの。  金城はその先に目を付けた。ただ同然の土地を買い漁り、そこに埋蔵金があると吹聴した。どんな土地でも人が集まれば、そこに人の暮らしが生まれ、商取引が発生し、金が集まる。金が集まる所の不動産価格は高騰する。  金城はゴールドラッシュを人為的に起こすことを考え、そして実行した。 金城の計画に抜かりはなかった。この時点では。嘘だと見破られないために数億円の現金は埋蔵金として各地に埋めた。それでも、数億円の金が手元に残った。
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