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「どちらにしても、彼に対する対応に変更はありません。私達は彼を博麗神社に案内するその時まで、客人として扱います。良いですね?」
「……はい、分かりました」
「先ずは博麗の巫女に書状を渡し、私達がそちらに向かいますとの旨を伝えなければいけません。いくら地底と地上の関係が幾分かましになったとはいえ、礼儀を守らなければいけません」
その書状を誰が送り届けるか。地上に上がり、博麗神社まで送り届ける事の出来る人材は限られている。修市にはまだ紹介していないが、クロの他にも二名、人間の姿に変化する事が出来る妖怪がいるが、彼女達はそれぞれ役目がある為、手が離せない状態である。
従って、博麗の巫女に書状を渡す事が出来る者は限られてくる。
「ですので、この書状をクロ、貴女が博麗神社まで送り届けて下さい。然る後に返事が返ってきたら、私が彼を地上まで案内します」
「それでしたら、博麗の巫女から了承を得た後に、僕があの男を送り届ければいい話ではないですか?」
「彼を保護すると言ったのは私です。ですので、最後まで彼の面倒を見るのは私の役目だと思いませんか?」
「確かにその通りかもしれませんが……いいえ。分かりました。さとり様の言葉に従います。ですが、せめて地上に繋がる道までは僕がさとり様とあの男を案内します。それでよろしいですか?」
「はい。地上までの案内役はクロにお願いします。頼りにしていますよ」
ニコリと笑みを浮かべ、クロの頭を撫でる。気持ち良さげに喉を鳴らすが、クロの思考から負の感情が流れているのを感じながら、さとりは修市との今後を想像し、内心息を漏らした。
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