悪夢

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 地霊殿に住まう住人を紹介し終えたのだろう。一息つく為にカップに口を付けるさとりを眺めながら、先程紹介してもらった人物を思い返してみる。火車とは葬儀場や葬礼、墓場に現れ、死体を奪い去る妖怪と説明を受けた。どうやら外の世界、日本の各地のその伝承が多く伝わっており、一部の地域では火車の正体は猫が化けたものとされているようだ。実際、この地霊殿に住んでいるお燐も獣の時の姿は猫の姿を模しているらしい。  お空と呼ばれた霊烏路 空は地獄鴉と呼ばれる種族で、元々は地獄の闇から生まれ、地獄の亡者を啄む鴉との事だ。今はさとり達が住んでいるこの旧地獄が廃棄される以前から棲んでいた妖怪らしいが詳しい情報は不明。灼熱地獄跡の高熱に耐えられるので温度調整の管理を任せているとの事だ。少し前に、地上の神が、彼女に八咫烏の分霊を宿させ、太陽神としての力を身に付けた後、間欠泉地下センターと呼ばれる施設の管理も併用しているようだ。  さとり曰く、神の力を手に入れたお空が気分を良くし、そのまま地上に上がり破壊の限りを尽くせば新たな灼熱地獄が生まれるのではと考えたらしく、それが原因で博麗の巫女がそれを異変と捉え退治された経緯から博麗の巫女との繋がりが出来たらしい。  そして、さとりの妹こいし。お空の一件もあり、彼女は今、地底や地上を自由に行き来しているらしいが、彼女が何処にいるかまではよく分からないというのがさとりの言い分である。  こいしが留守というのは分かったが、他の二人、お燐とお空は今、地上に上がって灼熱地獄跡の火力調整の為、人間の亡骸を回収しているとの事だ。人間の亡骸を燃料にしていると聞いた時は流石に驚いたが、灼熱地獄跡を管理する上では必要な事と言われ、納得するしかないのだろう。  ただ、その件に関して納得し、最初の時と比べて平静を保っている辺り、どうやら他の人と比べ、人間に対する関心が低いのかもしれない。もしかしたら、記憶が無い事が影響しているのだろうか?  それとも、周りが妖怪かさとりのペットである動物しかいない環境に慣れ始めているのかもしれない。そう思ったら、仮に外の世界に戻れたとしても、その環境に自分が適応するのだろうかと不安が過る。
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