地上へ

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 正確には、地上に上がるその時まで客人として扱われているのだが、お空の質問は概ね間違ってはいない。そんな二人の遣り取りを聞いていたさとりの表情が、一瞬ハッとなり、お空を制止させようとしたが、それより早く、お空が口を開いた。 「それじゃあ、修市はさとり様の新しいペットなんだね。さとり様が人間を飼うなんて珍しいね」  お空の思わぬ発言に、修市の表情が困惑の色を示す。 「お空、彼は地霊殿の客人であって、私のペットという訳ではありません」  どうやらさとりも同様らしく、困惑した表情を浮かべながらお空の発言を否定し、修市は地上に上がるまで客人として扱っていると話し、幾度か言葉を交わした後に漸く納得したようだ。 「それじゃあ修市は、地上に上がるまで客人なんだね。その後はどうなるのかな?」 「その後の事まではまだ分かりません。今はクロに博麗神社に目通りを願う書状を渡していますので、その返信次第で少しの間、地霊殿を留守にするかもしれません。ですので、もしその時は、お空に地霊殿の留守を任せたいと思っています。宜しいですか?」 「はい!! さとり様がいない間、地霊殿の留守を任されました!! 侵入者を発見次第、即刻排除します!!」  元気な声で物騒な事を口にしている。しかし、クロとは違った形で素直な性格をしているのだろう。邪気が無いというか、真っ直ぐすぎるというか、強いてあげるのならば純粋無垢というのだろう。  さとりの話によると、以前、この地底で異変が起きた時、その異変の首謀者がこのお空だったという。正確には、お空に神の力を与えた地上の神が異変の首謀者だったのだが、お空は神から与えられたその力で、地上世界を破壊し、地上を新たな灼熱地獄にしようと目論んだ。  しかし、件の博麗の巫女と地上に住む白黒の魔法使いの手により、その異変は解決したようだ。そしてその後に、神の力を与えた地上の神と地上の妖怪達の手により間欠泉センターと呼ばれる建造物を建て、そこでの仕事も兼用するようになったというのが、現状のお空の立ち位置である。  そんなお空と言葉を交わした修市とさとりは彼女と別れると、再び地霊殿の庭を散歩する事になった。 「先程はお空が変な事を口走ってしまい、申し訳ありません」 「いえいえ、最初は驚きましたが、全然気にしていないのでそう畏まらないで下さい」
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