博麗の巫女

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「外来人の中には私達の知らない知識を持つ外来人も沢山いたから、保護される事を条件に、その技術を提供してもらっているの。そのおかげで人里はこれまでにない発展を遂げたんだけど、紫の狙いが分からないのよ」  と、此処で、件の妖怪の賢者が話題に上がる。話を聞いた限りでは、人里の規模を大きくするために、外来人を人里まで送り届け、彼等の技術を取り込んでいるようにも見える。  しかし、それはあくまでも、人里が発展した為にそう感じるだけで、本質はまた別の所にある様に感じた。 「少なくも、紫が人里の住民の為に、外の世界の技術を取り込むことは考え辛いわ。彼女にとって、幻想郷とは全てを受け入れる所であり、それ以上も以下もないわ」  しかし、紫が幻想郷に対して害を為すようなことはしないと、霊夢は二人に断言する。彼女にとって幻想郷は全てを受け入れる所と定義しているが、幻想郷に対する愛情は限りなく深く、害を為そうとする者に対しては容赦なく排除する傾向にあるという。  だからこそ、今回の様に外来人を大量に幻想郷に流す理由が見当たらないというのだ。何度も言うが、外来人は妖怪達の体裁を保つ為の贄であり、特に理由もなく外来人の数を増やす意味はないはずである。現に、多くの外来人は人里に流れ込み、保護されている。  そして保護された外来人の多くが、様々な知識を人里に流し、人里を発展させている。発展と言えば響きはいいのだが、あまりにも急激な発展は資源の不足や貧富の差を拡大させる恐れもある。  特に、元々幻想郷にいた人里の住人達にとって、彼等の存在は後の貧富の格差に大きく関係してくるだろう。そうなれば、人里の住人と外来人達との間で亀裂が生じるのは明白、それは彼女にとって出来得る限り避けたい事象であろうというのが霊夢の言い分である。ならば、直接本人に聞いた方が良いのではないか?  何故、彼女が外来人を大量に幻想郷に流しているのか、仮に何かしらの理由があるのであれば、それを問い詰める必要がある。そうすれば、修市が何故地霊殿に流れ着いたのかという理由も分かってくるはず。そう思ったのだが、霊夢はその質問に対して、首を左右に振った。
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