家族とは何であったのか

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家族とは何であったのか

「家族」とは何なのだろう。 同僚や後輩が結婚して出産して「家族」を築き上げていくのに 私は「家族」というものが分からない。 高校を卒業して上京するまで実家で暮らしていたが 家は嫌いであった。 両親は決して悪い人ではない。 私に愛情をかけてくれていたと感じている。 でもいつも「何か」を演じていなければいけない家庭だった。 「いい子」と言い切れない「何か」を。 今も何を演じていたのか文字にするのが難しいのだが 「両親が望むような子供のような何か」というのだろうか。 「ちょうどよい子供」のようなもの。 それを演じていたような気がするのだ。 両親に本心を言ったことがない。 両親が望むような返事をしていた。 時々選択を間違えて「えっ?」という顔をされるのが怖かった。 一人暮らしを始めて何でも自由に自分で選択できることが分かった時 人生で一番嬉しかった。 自分で選択するが故の失敗もあったが、後悔という形での思い出には なっていない。すべて自分が決めたことだから。 「家族」が分からない。 自分のような家族はいらない。 でもそれしか知らないから分からない。 本音を言い合える家族なんて存在しないのだろうか。 本心で意見をぶつけ合って、最後には笑える…そんな家族は 私が夢見ているだけで実在しないのだろうか。 楽しそうに家族の話をする友人と私は何が違うのだろうか。 私の何かが間違っていたのだろうか。 分からない。 こんなことを両親に言う気もなければ、両親のせいにする気もない。 ただ私にはあれが「家族」とは思えない。 育ててくれたことに対する感謝とか、そういう気持ちはあるのだが 「家族」ではなかった。 分からない。 ごめんなさい。
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