8人が本棚に入れています
本棚に追加
ひかるの通っている高校は小高い丘の上の緑の中に佇んでいる。傘をさし少しだけ息をあげながらひかるは学校へ続く坂道を登っていた。左腕につけている腕時計を見るとホームルームギリギリだった。
「おうひかるー!!やべえよ遅刻寸前じゃん!!」
ひかるが後ろを振り返ると智樹が走ってきた。智樹は中学生の時からの友達だ。
「おはよう。てかお前汗すごいかいてるぞ」
最近変わったばかりの夏服に汗を垂らしながら智樹は
「まあ走ってきたからな」
となぜか自慢げに言う。
「そんな事よりお前単位大丈夫なのかよ!最近全然学校こないから心配してたぞ!!」
ひかるは無視して
「あと五分でホームルーム始まる」
とだけ言ってまた足早に坂を登り始める。
「お前なあ、バンドやるのはいいけどちゃんと学校くらい来いよなあ!噂に聞いたけど悪い先輩とつるんでんだって?」
「お前には関係ない事だよ」
お説教はうんざりだとひかるは思った。
「でもよお」
と続けようとした智樹をひかるは知らん顔してさらに歩くスピードを上げた。
最初のコメントを投稿しよう!