梅雨と

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 教室に着いたひかるを待っていたのは大勢の白い視線だった。  ひかるは無視を装おって自分の席に着く。  あたりからはヒソヒソとひかるを揶揄する言葉が聞こえる。 「あいつ超ひさびさすぎるしなんかウケる」 「なんかバンドマン気取ってんだって」 「何それカッコつけてんの?」  そんな声が聞こえる中クラス担任の山崎が勢いよく教室のドアを開けて入ってきた。 「みんなおはよう!!!なんか梅雨の雨はやる気を削がれるな!!ガハハ」  と肌の色と真反対の白い歯を見せて教室全体を見渡した。  視線がひかるにとまる。 「おはよう叶!!元気だったかあ?」  周りの空気などおかまいなしにひかるを名指しで呼んだ。  一瞬教室が静まり返った。  ひかるはどうしようもなくなって固まった。 「ザッキー少し空気読んでよー」  クラスの誰かがひかるの代わりにザッキーこと山崎に返答した。  クラスのいたるところからクスクス笑い声が聞こえる。  ひかるはやっぱり学校なんて来るんじゃなかったと思った。    
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