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明山ゆうは生徒会室でなぜか谷口教頭と叶ひかるのことを思い出していた。
谷口先生はどういうつもりなのだろうか、あんな問題児を野放しにしておくなんて。
生徒会室は日当たりが良すぎるせいかエアコンが入っていても少し暑いくらいで、学校を取り囲む深緑の中からセミの声が五月蝿かった。
「浮かない顔してどうしたんすか先輩」
話しかけてきたのは一年後輩の生徒会役員の三島智樹だった。
「なんでもないわ、三島君今度の文化祭に関する資料できたかしら?」
「はい、できてまーす!!」
智樹の喋り方はなんとかならないものかとゆうは思うのだが注意しても一向に治る気配がない。
「ありがとう」
あ、そういえばとゆうは思った
「三島君は叶ひかる君のことは知ってる?」
智樹は一瞬考えてから
「ひかるなら中学の時からのダチっすよ、またあいつ何かしました??」
中学生からの友達?まさかこんな近くに接点があったなんて、とゆうは驚いた。
「この前職員室で見かけただけよ谷口教頭と話してたわ」
「ええ、マジっすか??谷口教頭ってめちゃ厳しいじゃないですか俺ああいうの苦手だなあ。それよりあの馬鹿また何かやらかしたんすかねえ」
「彼、最近学校に来ないで何してるの?」
「ああなんか去年卒業した不良っぽい先輩板じゃないですか、確か名前は」
「山野先輩のこと?」
山野晶、去年までこの高校の不良たちを仕切っていた男だ。山野晶も髪を金髪にしたりピアスを開けたりとかなりの問題児だった。
「なんかあいつ山野先輩とつるんでるみたいなんすよね」
智樹は少し怪訝そうな顔で言った。
「なんか深夜まで隣町の地下のスタジオ借りてバンド?みたいなことやってるって聞きましたよ」
「それは叶君本人から聞いたの?」
「ええ、前にちょっと聞きました」
ゆうは考えた、なぜ深夜まで不良の先輩と遊んでいる叶ひかるをあの厳しい谷口教頭が許しているのか。もしかして適当な理由をつけて谷口先生を騙したとか?いや、悪い噂に谷口先生は敏感な人だ知らないわけがないのだ。
窓の外では相変わらずセミが鳴いていた。
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