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夏の生ぬるい夜風を切って疾走するバイクの後ろの座席に座ってひかるはエレキギターを背負っていた。前でバイクを運転するのは山野晶だ。
時刻は十八時を回っていたところだった。
雲の裂け目から少し欠けた月が顔を出している。
「ひかるー新しい曲のタイトルどうするー??」
運転中の晶が風切り音混じりにひかるにきく。
「まだ決めてないんで晶先輩お願いします」
「ええ??よく聞こえねえよーお前は声小せえからなあ、まあ歌はうまいが」
「そういえば最近純の調子はどうだ?相変わらずか?」
はい、とひかるはつぶやいた。唯一純のことを気にかけてくれる晶のことがひかるは好きだった。
ひかるは純の病気のことを晶にしか話していない。
月明かりで晶の金髪がキラキラ光って見えた。
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