知らない天井だ

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「なるほど。ゲームの世界、というのがよくわりませんが…今のレオニール様の体に別人格の方が入っているということですね」 「うん…この世界での僕はラムっていう女の子のキャラで…」 「女性なんですか!?」 「いや僕は男!…なんだけど、この世界では女の子のアバターを使っていたってだけで…」 「??アバ、ター?」 チンプンカンプンって顔してる。 ネットやゲームという概念がない世界じゃ例えが難しくて説明できない…。 「この作られた世界のみで使える仮初めの体というか…本当の僕は清水(25)と言う名の男だけど、仮初めの体がラム(13)と言う設定の女の子って感じ?」 「作られた世界…?つまりレオニール様…ラム様は神様の1柱ということですか?」 「ほあ!?ちがっ!違うけど…まぁこの世界の住人からしたら創造主側なのかな、その創造主から提供されたコンテンツの利用者ってだけで…」 中身入れ替わった、というシンプルな説明が壮大なストーリーになってきた。ゲームのキャラの中に入ったというだけでも奇想天外なのに。僕はもうお腹いっぱいよ。 説明すればするほどアルトたんは理解できないという顔をしている。それでも受け入れようと頑張ってくれる。ええ子や…。 「うっうっ。こんなクソ野郎から早く逃げてね、アルトたん」 「え"!?」 涙腺崩壊気味の俺を落ち着かせるために、アルトたんが紅茶を入れてくれた。優しい…。 めっちゃ良い香りと美味しい味が広がるのを感じ、やっぱり現実なんだなと理解させられた。 「ここってやっぱりカオスチェイン…アルスフィアという世界なんだね」 「え?…ええ。アルスフィアという星にあるバンダムという国です」 …ん。そっか。 めっちゃ敵国やないかい。(ギリギリィ) 考えればレオニールは敵国の人間だしぃ?ホームがプレーヤーと同じ国な訳ないわな。 「あれ!?バンダムって奴隷に人権ないし、亜人は差別対象じゃなかった?大丈夫なの?」 「はい。レオニール様は上級民なので大丈夫ですよ」 「ちーがーうー!僕じゃなくてアルトたんや他の奴隷の子のこと言ってるの!」 「!」 「そういえば奴隷ってアルトたん以外にもいるの?」 「はい。現在は亜人8名、普人5名を所有されています」 「多いのか少ないのか分からん。会ってみたいから連れてってー」 「…。よろしいんですか?」 「ん?だめ?」 また変な顔してる。なんかマズイの? いえ、こちらですと言いながら先導してくれた。 建物内は結構広かった。でも全体的に薄暗いし、人の気配しないからちょっと怖い。 「誰ともすれ違わないね。他に人はいないの?」 「はい、現在は奴隷とレオニール様だけしかいません」 一階に着いてまだ階段を降りようとしている。んんん?地下もあるの?てか、こんだけ広いんだから上の部屋使わせてあげればいいのに。 なんてのほほんとしていた僕は豆腐の角で頭ぶつけて豆乳になってしまえ。
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