フデ五

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 結論から言おう。  私は使用人の元へ帰ることができた。  私は幻聴を聞いたわけでも、幻覚を見たわけでもなかったのだ。  あれから取り調べや身体検査を受け、無事に使用人の元へ帰るころには誘拐から実に3ヶ月が経っていた。 「おかえり」 「おかえりなさい」  使用人とその妻に迎えられ、久々に我が家の空気を感じる。  私は正直、使用人を侮っていた。まさか誘拐された私を探してくれていたとは。しかも結果的に見事私を見つけ出し、犯人の手から救ってくれたのだ。  私は素直に感動した。 「君は僕に最愛をくれたからね。これくらい当たり前だよ」  使用人はそう言い、私を新しいベッドへと下ろしたのだった。
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