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今日は70年近く続いたご近所さんとの組み分けが、突然変更になった時のお話をしようと思います。
なおプライバシー保護のため、ご近所さんのお名前はイニシャルのみ、とさせていただきます。ちなみに私の名前は、とりあえずMとします。
13年前、いつものように、ご近所さんとお話していた時のことでした。
「Mさん、今度組み分けが変わり、Mさんやそれより遠い方は、私たちとは別の組になるんだって」
その瞬間の私の驚きは、みなさんにも、お分かりいただけると思います。
私から一番離れているSさん、いつも汗だくで走っています。私には暑そうに見えるのですが……、苦しくないのでしょうか? そのSさんが言いました。
「これも仕方がないです、Mさんより遠くに人が増えましたからね」
Sさんのお隣のKさん。お化粧のせいでしょうか? この方はいつもお肌が荒れています。汗を拭いながら言いました。
「だって、Mさん小柄ですし……、ごめんなさい」
誰でもうっかりすることは、あるようです。私の一番気にしていることを言いました。ばつが悪そうにKさんは、口をつぐみました。悪気がないと分かっているので、私は聞き流しました。
「うちの子がMさんより大きくて、そのせいかも??」
私よりも大柄な子どもがいるTさん、いつもお肌が潤っていてうらやましいのですが……。ここだけの話、Tさんは最近、緑が薄くなってきています。気苦労が多いのかもしれません。
もう1人の、Kさん。Tさんのお隣、外側の方です……。この方はいつも風に乗って飛んでくる、土砂ぼこりを気にしている方です。クシャミをしながら言いました。
「Mさんから私たちは遠すぎるから、Mさんにとって、新しい組み分けは、便利かもしれないわ、クシュッ!」
ご近所でもう1人のMさん、この方は子沢山で有名な方です。更に体重も……、いえ、ご近所では一番大きな方です。私に言いました。
「Mさんは子どもさんと双子みたい。仲良しでうらやましいわ、これからも仲良くしましょうね」
Dさんが続けて言いました。Dさんも子供さんがいっぱいいて、周りはお子さんたちが、輪のように囲んでいます。
「いつでも遊びに来てね」
私のお隣のお隣のTさん。体格はご近所で3番目に大きく、小柄な私とは大違いです。青白い透き通ったような美しいお肌をしている方です。上品に笑いながら言いました。
「今まで通りご近所だから、区分けなど関係ございませわ、おほほ」
そのTさんに、似ている私のお隣のKさん。いつもやや青い顔をしている方です。ニコッと笑っています。
「Tさんの言うとおり。私たちには区分けが変わっても関係ないわ」
枠組みは変わっても、私は今までと何も変わりません。ご近所さん8軒と反対の方向をふと見ました。それは黄金色の太陽の明かりが、徐々に暗くなる方向です。
目を凝らせば、新しいご近所さんたちが、数え切れないぐらい見えます。
母なる太陽に照らされ、明るい側の8人と私は親友になれたのです。必ず外縁の方々とも、お友だちになれるでしょう。さらに、これからその数はどんどん増えて行くのです。それを想像すると、私はとても幸せです。
私の名前は冥王星。70年ほど太陽系第九惑星とされていました。現在は準惑星です。現在は、惑星さんたちと、太陽系外縁天体さんたちの、交流を深めるという、やりがいのある役目を太陽系では担っています。
***
登場人物のイニシャル。
S(水星) K(金星) T(地球) K(火星) M(木星) D(土星) T(天王星)K(海王星) 『私』M(冥王星) 【完】
【解説 2006年8月24日国際天文学連合(IAU)は冥王星を準惑星に再分類し、太陽系外縁天体内の新たなサブグループの典型例とみなすと決議した。参考HP『ウィキペディア】
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