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「なおー、次の講義の課題見してくんね?」
片手で謝りながら、秀一は俺に向けて手を出した。
「お前何度目だよ。ったくしょうがねぇな、今度昼奢れよ」
俺はトートバッグからプリントを取り出し秀一に渡す。
秀一とは大学に入ってから知り合ってもう2年の付き合いになる。
「って量多くね?これ間に合わんだろ」
「知るかよ」
暗めの茶髪を掻きながら、秀一は課題の模写を始めた。
こいつに課題を見せるのは何度目だろう?20回を超えてからはもう数えていない。
秀一に限らず、俺の周りは大抵課題をやってこない。
だから課題が出るたびに俺はこうして頼られる。まぁ昼飯代が浮くからいいんだけどさ。
「ていうか今日の講義なんで尚しかいないん?他誰か取ってたよな?正和とか」
俺はいつも秀一を含めた五人ブループ行動している。
ただ、今この教室にいるのは俺と秀一の二人だけ。
「正和はデートだとよ。代返しといてってラインが来てた」
「んだよあいつー。真面目に勉強しろよな」
「おめぇが言うな」
そう言って俺たちは教室の最後列で笑い合う。
これはこれで楽しいけれど、それでもやっぱりゲーム実況をしている瞬間には勝らない。
早く帰ってゲームがしたい。
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