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その夢の中では、嵐などどこへ行ったやら。わたしは、いつものようにハンモックの上で絵本を読んでいます。けれども、なんだか変です。絵本の表紙は、いつものように金色をしてはいませんでした。そして、今までに読んだことのない不思議な物話がつづられていたのです。
ある女の子が、小さなハンモックから飛び出すと、女の子は宇宙空間をしばらく泳いでいましたが、その宇宙空間の底にはさらに大きなハンモックがあり、女の子は吸い寄せられるようにその巨大なハンモックへ包まれてしまったのです。
そのおそろしく大きなハンモックは、それぞれのはしっこが二つの三日月の先端にくくりつけられていました。片方の月の色は、見慣れたような金でしたが、もう一方の月は、銀色をしています。そしてその巨大なハンモック自体も、いつもわたしを包み込んでくれている金色の布ではなく、銀色をしていました。
絵本の表紙を見たら、やっぱり、銀色の表紙でした。これもわたしの絵本じゃない。だれの絵本かな。そうぽっつりと夢の中でつぶやくと、夢の中なのに妙にはっきりとした声で、返事が返ってくるのが聞こえました。
その絵本はぼくのだよ。
わたしが目を覚ますと、その声の主がぼんやりと遠くに見えました。そしてすぐさま、その輪郭がはっきりとしてきたのです。
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