ハンモックパラダイス

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 ああ、きみ、それ夢じゃないよ。よくこの周りを見てごらん。みんな銀色(ぎんいろ)だろ。これ巨大なハンモックなんだ。ほら、ちょうどぼくがそのレプリカの小さなハンモックの布を抱えているだろう。ぼくら、この巨大なハンモックの上で生活しているんだ。  少年にそう告げられたわたしは、地面だと思っていたものをじっと見つめ、ほんとうにそれがだだっ(ぴろ)銀色(ぎんいろ)のハンモックだということを知りました。さらに、遠くを見すかすと、たしかに片側(かたがわ)に銀、もう一方に金の三日月(みかづき)が照っているのを見つけたのでした。  ここは、わたしの知っているような世界じゃないわ。なにもかもおかしいもの。わたし、もうもとの世界に戻れないのかしら。  わたしが悲しくなってそうつぶやくと、銀目(ぎんめ)の少年は、元気づけるようにわたしに向かって明るい声をかけました。  えーと、きみ、元気出せよ。ここはたしかに、他の世界とはだいぶ変わっているところだけど、とても楽しい場所だぜ。この世界では、様々な色と大きさのハンモックがずらっとならんでいて、まるでトランポリンのようにぴょんと跳ねれば、宇宙旅行もタダでし放題。そうまさに、ハンモックパラダイスなんだぜ。  まるで泣き出しそうなくらいに、落ち込んでるわたしの前で、なにのんきなこと言っているんだこの子は、とわたしは一瞬思ってしまいましたが、ハンモックパラダイス、という言葉に、なにか希望を見いだし、思わず大声で叫びました。
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