胸に輝く金色の

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胸に輝く金色の

 憧れていた。胸に輝く、金色の輝きに。金メダルに。  とはいえ、俺は何一つ、一位になれない男だった。  運動会のかけっこも。  持久走も。  部活の大会も。  テストの成績も。  図書室で借りた本の冊数ランキングだって。  良くて五位だ。表彰台に上がる資格すらない。  ずっと憧れてきたけれども、俺の二十数年の人生で金メダルを手にすることはなかった。だから、あの輝きは幻のようなものだった。諦めてきた。  だけど、これだけは、どうしても諦めることができなくって。  目指してからはずっと、諦めずに頑張ってきた。俺なりに。手が届かなかったこともある。それでも、再挑戦した。  そうして、ようやく、ついに。  俺の胸に輝く、金色の輝き。  ひまわりをかたどったバッジ。そう、弁護士バッジ。  今回も当然、一位なんかじゃなかった。下から数えたほうがよっぽど早い。それでも、この輝きを手にいれた事実には変わりない。 「よっし、がんばれ、赤居正輝」  自分の頬を叩いて気合をいれる。  今日が俺の初仕事、初出勤。  目指した憧れは、まだスタート地点に立っただけ。この輝きに恥じないように、精一杯努力するのだ。  そう改めて決意すると、事務所のドアをあけた。
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