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「号外だぁ!号外だよぉ!」
喋り声の切れない雑踏の中で、一際大きな声が響く。
男は一段も二段も高い台の上から、声を張り上げてチラシをばら撒いた。
「あの賞金首、元王国魔導師ドラニルが東のリネ街道で大立ち回り!懸賞金が5億に跳ね上がったぞ!」
人々はその声に煽られてチラシに群がる。
ドラニルという男が国中を騒がせたのは、つい先月のこと。
若くして王国一魔導師の称号を手にし、騎士団長補佐まで上り詰めていた彼は、王女を襲っている所を騎士団長に見つかり、城の一部を破壊して逃亡した。
その日のうちから生捕りで1億の懸賞金がかかり、多くの者が彼を狙ったが、彼の被害者が増えるばかり。それに比例して賞金も上がり、国中が一種のお祭り騒ぎに興じている。
王都から馬車で1、2週間かかるこの街では、徐々に近づいてくる彼の動向に浮き足立ち、とうとうすぐ側の街道に現れた事に色めき立つ。
ばら撒かれたチラシには、魔導で転写されたドラニルの顔写真が載っていて、皆が皆チラシを手に入れようとする。
お使いで買い出しに来ていた少女・フィリーもせっかくなのでチラシを取って帰ろうと思ったが、大の男達の背丈には敵わず、虚しくぴょこぴょこ跳ねるだけ。
群れの中にすら入れず弾き飛ばされて転んだ。
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