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祖母より今年1歳になる我が子へと届いた宅配便。箱の中には鎧兜を身にまとう凛々しき五月人形が横たわっていた。さっそく人形をリビングへ飾る妻。その横で夫は同封された手紙を読み上げていた。
「孫だと思って一生懸命作ってみたよ。(中略)この人形のように凛々しく、そして逞しくそっくりに育ちますように」
綻んだ笑顔の中に涙が光る妻。対して朗読を終えた夫は、少々険しい表情で人形を凝視しているではないか。その様子を不審に思った妻は夫に問いかけた。すると夫は人差し指と中指で人形の頭にそっと触れると口を開いた。
「やっぱさ、うちの家系はツルツル系なんかな・・・」
その一言に妻の視線は夫の頭上を彷徨うのであった。
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